「骨」展
2009年 05月 29日

●21_21 DESIGN SIGHT
●会期:2009年5月29日〜8月30日
●入場料:当日一般1,000円
●概要:デザイナーとエンジニアの視点を持って
活躍する山中俊治を展覧会ディレクターに迎え、
洗練された構造を持つ生物の骨をふまえながら、
工業製品の機能とかたちとの関係に改めて目を向けます。
キーワードは「骨」と「骨格」。
12組の作家による作品に触発されながら、
「未来の骨格」を探っていきます。
(サイトより抜粋)
=======
展示構成は大きく2つに分かれており
そのものを(分解したり抽出して)展示する「標本室」と
骨から着想を得て生み出された作品が並ぶ「実験室」。
新作が並ぶ実験室がこの展覧会の中心だとは思うが、
わたし的には「標本室」にガツンとやられた。
最初の湯沢英治さんの写真がとにかくいい。
標本として均一に見せるのではなく、
湯沢さん自身がどこに感動したかが見えてくる大判の写真。
被写体がかつて動物だったことよりも
今、骨としてここに在る(写真だけど)ことが
必然であるかのような、
圧倒的な存在感が放たれている。
透けて見えるほど薄い頭蓋骨を持つめじろ。
くしゃっと指でつぶれてしまうようなその骨からは
はかない命が感じられて胸がぎゅうとなる。
逆に堂々たる骨格をもち、「かっこいい」と感じられる
キリンの頭蓋骨。彼らが生きて動いていた頃よりも
生命の尊厳みたいなものが感じられる気がしてしばしたたずむ。
こうした美しい骨を手に入れるのは案外奇跡的なことのようで、
実は湯沢さんは死体を手に入れ、骨をつくるところから
このプロジェクトを始めているという。
写真集を出しているそうなので、早速手に入れたい。
知らなかったな〜、こんな美しい写真集があること。
これまで見逃していたことにもったいなさを感じる。
その次の「工業製品の”骨”」を見せる作品も圧巻だった。
イギリス人写真家ニック・ヴィーシーのレントゲン写真とか、
山中さんが分解したさまざまな製品を見ていると、
日常的に使っていた道具が実は、
人知・技術の固まりだという事実が
明白につきつけられてウッとなる。
頭では知ってたけど、こうやって突きつけられると身に迫るものだ。
動物の骨格からは、人を超えた「神」的なものを感じるが
それは当然超えられない巨大な存在なので、
ある意味(超えられなくて当然という)安心感をもって見ることができる。
でも工業製品は、明確に人間がつくったもの。
ということは人間であればこうしたものを超える何かを
つくりだせる可能性があるわけなのだが、
細かくて複雑な内部構造のさまざまな製品を見ていると
私には無理、という敗北感を感じずにいられない。
自意識過剰な感じだが、敗北感。複雑な気分。
「実験室」の作品はどれも
技術と、それをより効果的に見せようとする
デザイナー的視点の作品と、
”効果的”の方向をユニークに解釈した
アート的視点の作品両方が展開されていて
時に大笑いしたり、時にびっくりしたりと
かなり素直に楽しめた。
山中さんがこの展覧会の企画があがったとき
真っ先に声をかけたという「からくり人形」を見た時は
「木の機能」ということにすごく興味をもった。
2121でこれまでやってきた5回の企画展のうち
一番印象的かつ考えさせられた、
とてもいい展覧会だったと思う。
奇しくもつい最近野村仁さんの展覧会を見て
芸術と科学との刺激的な出会いということを考えていたこともあって
なんだかつながっているな〜としみじみ。
確かに”外側を作ること”がデザインのひとつの側面ではあるけれど、
工業や科学により深く寄り添うことで
もっと違った解が生まれるということがよ〜くわかった。
今後デザインを考える上で、いい体験をさせてもらいました。
by honbooks | 2009-05-29 11:25 | 美術展

